ホンビノス貝という名前を聞いた事はありますか?見た目はやや白みがかった大き目のハマグリの様な二枚貝です。
もともとは、日本にはいなかった外来種、大型船のバラスト水にのってはるばる海外からやってきました。
最初、漁師たちはアサリ漁の中に混じる大きな得体の知れない貝をポイポイ捨てていたようです。市場にも出せない名前もわからない貝をわざわざ獲るもの好きはいないでしょうから当然です。その貝が年月を重ねるうちに大きくそして数多く見かけるようになったそうです。
増える一方のホンビノス貝をどうしたらよいかと思案した結果、漁業権をつけて正式に海の資源と認めて売り出したのが船橋市でした。さすが目の付け所が鋭い!
だんだんと知名度を上げて最初は大アサリだったり白ハマグリだったり怪しさ満載のお名前が・・・いつのまにか堂々とホンビノス貝を名乗りはじめたのでした。
なぜ、ホンビノスって言うの?~名前の由来~
ホンビノスなんて言葉聞いたことありますか?
私はありません!どっからそんな突拍子もない名前がついたのでしょうか。
どうせならそんな弱そうなモンスターみたいな名前ではなくハリウッドスターのような名前のほうが良かったのでは?
と思ってましたが実は由来はありました。
ホンビノス博士が発見したからとかではありません!
名画『ヴィーナスの誕生』のヴィーナスが乗ってる貝がこの貝なのだそうです。
そこからヴィーナス→ビーナス→ビノスになりました。
本名(和名)は【本美之主貝】さんです。
出典:https://artmuseum.jpn.org/mu_venasu.html
ホンビノス貝との出会い
実はホンビノス貝って本当に最近名前が知れ渡ってきたばかりでちょっと前までは東京の人はおろか地元船橋でも名前はしられていなかったマイナー選手でした。
それが、ここ数年でたくさんのメディアに取り上げられて一気にスターダムにのし上がってきました。値段もお高くなってきました。とはいってもアサリやハマグリに比べたらまだまだリーズナブルです。
実は私との付き合いは意外と古くかれこれもう10年以上になります。私がまだ船橋で飲食をやり始めたころから、ずっとお付き合いしてきました。いい時も悪い時も一緒に乗り越えてきました。それなのに自分だけ有名になって、少し嫉妬しています。
そんなホンビノス貝ですが、実は素材としてのポテンシャルはとても高いのです。
ホンビノス貝は出汁が凄い!
アサリやハマグリ等でもよく食べられる酒蒸しやお吸い物を作ると一目瞭然です。
旨味が口の中いっぱいに広がって余韻も長く、貝特有のコハク酸のうまみが前面に出てきます。
欧米原産のためか身は筋肉質でとても大きくなり火を入れすぎると弾力が強くなりすぎるところがたまにキズです。
クラムチャウダーとホンビノス貝
クラムチャウダーってどんなものか皆さんはご存じでしょうか?
私はこの仕事で実際にクラムチャウダーを作るようになるまではっきりとは知りませんでした。日本でクラムチャウダーというとアサリが入った魚貝出汁のクリームスープという感じでしょうか?
間違ってはいませんし実際日本のクラムチャウダーはそういったものです。
本来はアメリカの食べ物クラムチャウダーは漁師の食べ物です。貝と一緒にたくさんの野菜のこま切れを煮込んだスープです。粘度はシチューほど高くなく具材もゴロゴロして大きいわけではありません。
ルール的な感じで言えば二枚貝の出汁&小さく切った具材を煮込むことぐらいです。味も一般的なクリーム系やニューヨークで食されるトマト系、出汁を生かした塩ベース系と様々です。
日本にクラムチャウダーが入ってきた時、ホンビノス貝は日本になく一番流通して使いやすかったアサリが一般化しましたがアメリカでは本来ホンビノス貝を原料とするクラムチャウダーが主流です。
ホンビノス貝で作ったクラムチャウダーは出汁のパンチがあり濃厚な旨味が特徴です。
日本一のクラムチャウダーはホンビノス貝から作った濃厚な出汁が自慢のちょっと贅沢なクラムチャウダーです。