激闘!全日本クラムチャウダー選手権

千葉県船橋市の船橋漁港はホンビノス貝の漁獲量が非常に多く日本の中でも有数です。
そんな船橋市の新たな名物として日本中にホンビノス貝の知名度を上げるべく世界中でも愛されているホンビノス貝を使ったクラムチャウダーの全国大会を開こうと2019年2月、第1回全日本クラムチャウダー選手権が船橋漁港で開かれました。

↑↑ホンビノス貝についてはこちらから・・・

初めてのこともありどれだけのお客様が来場するのか誰もわからないまま幕は開けたのでした。天気は晴天、気温はもちろん低めで寒い漁港なので遮るものもなく風も強く吹く中、NHKの生放送も取材で入りどんどんお客様が来場!
当店も出場しお客様からの投票第1位で見事優勝させていただきました。
優勝のアナウンスを聞いた時には夢心地で信じられない気持ちでした。

そして、時は少々流れ同じ年の11月、第2回全日本クラムチャウダー選手権が開催!
出場店の中には打倒!963をかかげる店舗もチラホラいて、ディフェンディングチャンピオンとして追われるプレッシャーの中で出場しました。

大会当日までルールの説明も伏せられるという不安要素がありましたが、スタッフ一同で話し合いとにかく誰からも文句のつけようがない位のものを出そうということで商品開発が始まりました。見た目、ボリューム感、コスパ、もちろん味で全て手を抜くことなく仕上げていき、最後の最後まで研究と試作を繰り返してやっと納得できるものが出来ました。

当日、決戦の日ー
オペレーションや材料の補給、トラブル発生時の対処法をミーティングしいよいよスタートです。

前回のチャンピオン店という知名度と美味しいとのふれこみもあり、あっという間に行列が出来ましたが、あまりにもオペレーションが良すぎてほかの店のお客さんの数と行列だけでは比較ができなくなってしまっていました。いつの間にか大会も終盤に差し掛かりあと20分位のところで2000杯近くを完売させることができました。しかし、終わった後も他の店舗ではまだ行列が並び胃が痛くなる思いで見守っていました。

とうとう結果発表のその時!
特別賞、3位、2位…次々に発表される中呼ばれません!これ優勝じゃなっかたら入賞もしてないってこと?真面目に怖くなりました。そして、とうとう今回の優勝店の発表!

なんと「【963】見事優勝~!!!!おめでとうございます。」とのアナウンス
肩の荷が下りたような、無茶苦茶うれしいやら、なんだか混ざって複雑な感情で、表彰台に上がるスタッフみんなも感慨深げに涙していました。

クラムチャウダー選手権963優勝

なんといっても全日本大会2連覇!!これはデカイ!!表彰式で963優勝と書かれた賞状と合わせて、副賞として本場アメリカ大会出場の切符をいただきました…

クラムチャウダー アメリカ大会への葛藤

日本選手権を二連覇してうれしいー!!!だけどなんだか淋しい。この前まではチャンピオンとして負けられない試合を万全の作戦と料理で戦ってきたのに、終わるとなんだか緊張の糸がプツリと切れたような感覚。あのヒリつくような緊張感が懐かしい・・・私は完全に戦闘中毒になっていたのかもしれません。

おりしも、中国の武漢で新型コロナウィルスが発生し、連日ニュースを賑わしていましたが日本やアメリカはまだ他人事で、そこまで危機感を感じていませんでしたので、家族やスタッフを連れて旅行ついでに参加してみるのもいいな、なんて軽く考えて参加表明をしてしまいました。

大会の日程が近づき、2020年2月になると状況は更に悪くなりコロナウィルスも猛威に世界中で緊張感が走っていました。参加表明したものの本当に渡米するべきか悩みました。家族はまだ幼児もいるので置いていくことは決め、最低限の人数で大会に参加して直帰しようということで、結局私とスタッフ1人の2人だけで行くことになりました。

英語もろくにできず、本当に無謀な挑戦でした。大会では使ったことのない初見の厨房で1000人前のクラムチャウダーを1日で作らなければいけないという難題がありました。さらに、その頃のアメリカではコロナウィルス蔓延の元凶となったと中国へのバッシングが酷く、アジア系の人達が暴行を受けたとニュースでは報道され、正直不安に思っていました。

そのような中でも、ナビゲート役として通訳兼コーディネーターさんを雇い、わからないこと、欲しいもの、しりたいことなどをクリアしてもらいました。
とうとうアメリカ大会本番へ
大会の約1週間ほど前にアメリカに出発です。

作戦を練るぞ!ということで着くなり現地のクラムチャウダーを食べまくりました。聞いてはいましたが、本場のクラムチャウダーは濃度が濃くて味も濃い!!「こんなにはっきりとした味覚なんだなぁ。」約1週間でクラムチャウダーが危うく嫌いになりそうなくらい食べました。

自分たちの売り出し方もどうしようか思案し【日本のプロのラーメンマスターが作る出汁のクラムチャウダー】という触れ込みでプロモーションすることに決めました。大会の行われるシアトル近郊は教育レベルや生活レベルの高い人たちが集まっている場所でもあります。スターバックスコーヒーやAmazon、ボーイング社の本社がある土地柄です。グルメな人たちは日本食にもなじみがあり出汁、ラーメン、居酒屋が流行っていました。

最後の課題は食材の調達だ!

玉ねぎ、人参をはじめ野菜類はなんとかなりそうでした。しかし、牛乳とバター乳脂肪分が日本とは違い細かく分かれいるし何が書かれているかさっぱりわかないのです。バターもなんだか違う、小麦粉も種類が一種類しかなく薄力粉とか強力粉とかわからない…ベーコンの燻製具合や塩分濃度も日本とは違いすぎる!初めての場所で戦うというのはこういうことなんだなと実感しました。

色々な食材を多めに買ってトライ&エラーを繰り返してだんだん形になっていくのはまさに奇跡でした。試行錯誤の日々を過ごし、大会当日はあっという間にやってきました。当日の朝までずっと調整してなんとか納得いくものがようやく出せるようになりました。

大会が始まると物珍しさからかすぐに行列ができて食べた人からの感動の声がこだました。『こんなにうまいクラムチャウダーは初めてだ!』と言ってくれる人もいました。しかし、アメリカでも有名な店も複数出場していましたし、参加することに意義があると心に言い聞かせ何とか乗り切ろうと必死で調理して提供し続けました。

途中、ブラックペッパーがなくなったり、上に乗せるトリュフのホイップクリームが切れたりトラブルはあったが何とか乗り越えて終了!お客様全員が審査員になり投票というルールのもと集計が進んでとうとう結果発表です。

この大会は部門が二つあり 一つは伝統的な部門、もう一つが私たちの出た革新的な部門でした。伝統的な部門ではやはり誰もが知っているビックネームの店舗が優勝

そして革新的な部門での優勝は……『 9  6  3 』!!!!

ん?????ナイン シックス スリー???あれ?うちのこと?
周りのお客様や他の店舗の人の視線が自分に注がれていてやっと状況を理解しました。

夢にも思っていなかった優勝!本当にアメリカまできて参加してよかった。

次の日には祝勝会も辞退して日本に帰国したのでした。その約1週間後、大会の行われたシアトル近郊でもコロナウィルスが蔓延し、その後アメリカは大変な事態になりました。本当にぎりぎりのタイミングでの大会でした。その後アメリカでは大会は開催されておらず、最後のチャンピオンのままです。

船橋ホンビノス貝とスープへの想い

私たちがやっとここまでこれたのはホンビノス貝のクラムチャウダーがあったからだと思います。クラムチャウダーをはじめホンビノス貝で沢山の勉強をさせていただきました。

ホンビノス貝は大切な海の資源です。
獲りすぎてもだめだし、獲らな過ぎてもいけないと思います。今はやりの持続可能な世界ではありませんが、長くいつまでも美味しく楽しく、皆を助ける食材であってほしいと思っています。

私たちは、これからももっとホンビノス貝並びにこの船橋がメジャーになることを目指しスープや料理の研究をしていきます。新しい食の提案や新作商品もどんどん知っていただき、ホンビノス貝の魅力を広めていきたいと思います。

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